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Channel: 英国自転車、シネレンズ、オールドギター
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ブラックスウィングギタリスト

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ずっとブルース一筋だったが、ジャンプブルースがスウィングジャズにブルースやブギウギを取り入れたもので、別名ブラックスゥングという、と聞いて俄然ジャズに興味を持った。それで、ジャズギターを色々聞いてみたのだが、どうもピンとくるものがない。ブルースギターが濃厚なエスプレッソだとしたら、モダンジャズギターは薄いアメリカンコーヒーみたいで物足りない。速くて音数が多くて上手いんだけど、濃度が薄い。いいのはウェスとグラントグリーンくらい。白人ギタリストが多いというのも影響しているかも。

それでも、捜せば50年代でも濃厚ブラックスィングタイプの単弦ソロギターを弾く人々はいるもので、やっと好みのギタリストが3人みつかった。それがタイニーグライムス、ビルジェニングス、スリムゲイラードだ。しかし、この3人はジャズの世界ではあまり評価されていないようで、スリムゲイラードなどはジャズギタリストのリストにも入ってないし、コメディアンだと思われているようだが、この人のギターがとても好きだ。タイニーグライムスはリストには載っているが演芸系ギタリストなどと書かれているし、ビルジェニングスはR&Bギタリストとなっている。
でも、この人達のギターを聞いた後にモダンジャズの巨匠といわれる白人ギタリストを聞くと、おしゃれな居酒屋やホテルのロビーで流れているようなBGM にしか聞こえない。

1930年代に黒人のダンス音楽であったスウィングジャズが白人に大流行し、次第に白人社交ダンス用の大人しい上品な音楽になってしまい、黒人達からこんなんじゃ踊れないとの不満から、激しいリズム、躍動感満載のジャンプミュージック=ブラックスィングが生まれた。ジャンプバンドの一部のメンバーはダンス音楽をも拒否して、新しいジャズ、ビバップを生み出し、これがモダンジャズになっていく。ジャンプからはR&Bが生まれ、ロックンロールが生まれ、モダンブルースが生まれ、ジャンプはその役目を終えて消滅する。R&Bはその後ソウルとなり、ロックンロールはロックとなり世界に広まった。

勝手にブラックスウィングギタリストと呼んだが、むしろジャンプギタリストと呼んだほうがいいのかもしれないが、初期のビバップのミュージシャン達とは縁があって、1944年のタイニーグライムスクインテットのメンバーはチャーリーパーカーだったし、1945年のスリムゲイラードセプテットでの録音メンバーはチャーリーパーカーとディジーガレスピーだった。単にお金のためのお仕事だよ、という人もいるが、初期のビバップにはジャンプミュージックと同種のエネルギーがあったように思う。

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